【数学Ⅰ】文字係数の方程式・不等式で場合分けが必要な理由と解き方を解説
高校数学で難しいのは、場合分けのある問いですよね。
特に文字係数の方程式や不等式は高校数学の初めの方で習うので、まだ場合分けに慣れていない人にとってはわかりにくいでしょう。
そこで、この記事では文字係数の方程式・不等式の場合分けを用いた解き方がわからないあなたに向けて、場合分けが必要な理由と場合分けを用いた解き方を解説します。
この記事を読めば場合分けが必要な理由からわかるので、『なんとなく』ではなく『しっかり根拠をもって』場合分けをしながら文字係数の方程式・不等式を解けるようになります!
文字係数で割るときに場合分けする理由
文字係数の方程式・不等式では、まずは文字係数で両辺を割りますよね。
では、なぜ文字係数で割るときに場合分けをするのでしょうか。まずは理由は2つあります。
改めて見ると、当たり前のことですよね。
まず、数学のルールとして『2÷0』のように0で割ることはできません。
さらに、文字は特に何も言われない限り全ての実数を表しています。
つまり文字で割るということは、0で割っている可能性も捨てきれないということです。
よって文字係数の等式を解くときは、文字が0である可能性を考えて場合分けをしなくてはいけません。
また、文字は何の数かわからないので、正の数なのか負の数なのかもわかりません。
正負がわからないと不等式を解くときに困りますよね。
正の数ならいいけど、負の数で割ったら不等号が逆になるもんね
つまり文字係数の不等式を解くときは、文字が0である可能性に加えて、文字が正の数である・負の数である可能性も考えて場合分けしなくてはいけません。
【例題】文字係数『等式』の解き方
ここからは文字係数の等式の解き方を、例題を用いて具体的に解説します。
例題
次の方程式を解きましょう。
$a(x+1)=a+3$
$x=○○$の形にしたいから、
まずは両辺を$a$で割るよね
文字係数$a$で割るとき、その$a$が『0』か『0でないか』の場合に分けて考えなくてはなりません。
なぜなら、$a$が『0』の場合は両辺を0で割ることになるからです。
以上のように場合分けして解いてみましょう。
$(ⅰ) a=0$ のとき
$a(x+1)=a+3$
$0・(x+1)=0+3$
$0=3$
これは明らかに成り立たないので、$a=0$のとき解なし。
$(ⅱ) a≠0$のとき
$a(x+1)=a+3$
両辺を$a$で割ると、
$x+1=\frac{a+3}{a}$
$x+1=\frac{a}{a}+\frac{3}{a}$
$x+1=1+\frac{3}{a}$
$x=\frac{3}{a}$
よって答えは、$\color{red}{a=0のとき解なし、a≠0のときx=\frac{3}{a}}$
【例題】文字係数『不等式』の解き方
ここからは文字係数の不等式の解き方を、例題を用いて具体的に解説します。
例題
次の不等式を解きましょう。
$b(x-3)≧2b$
普通ではまず両辺を割るところですが、文字$b$で割るとなるとそれが『0』である可能性を考えなくてはならないのは等式を解くときと同じです。
さらに不等式では両辺を割ったときにあるルールがありました。
正の数で割ったら不等号はそのまま。
負の数で割ったら不等号は逆向きになるね。
以上のことから、不等式の両辺を文字で割るときは以下のように場合分けします。
以上のように場合分けして解いてみましょう。
$(ⅰ) b=0$ のとき
$b(x-3)≧2b$
$0・(x-3)≧2・0$
$0≧0$
これはxの値に関係なく成立するから、xは全ての実数。
$(ⅱ) b>0$ のとき
$b(x-3)≧2b$
$x-3≧2$
$\color{red}{x≧5}$
$(ⅲ) b<0$ のとき
$b(x-3)≧2b$
$x-3≦2$
$\color{red}{x≦5}$
よって答えは、$\color{red}{b=0のとき、xは全ての実数,b>0のときx≧5,b<0のときx≦5}$
まとめ
文字係数の方程式・不等式の解き方についてまとめます。
- 『0では割れない』『文字は何の文字かわからない』ことを知る
- 文字係数の方程式では『文字=0』『文字≠0』に場合分けする
- 文字係数の不等式では『文字=0』『文字>0』『文字<0』に場合分けする
まだ場合分けには慣れていないかもしれませんが、場合分けには必ず意味があります。
問題集の解説を読むときも、『何のために場合分けをするのか?』を意識しながら理解しましょう。
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