【数学A】円順列の公式はなぜ(n-1)!なの?順列との違いから詳しく解説

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【数学A】円順列の公式はなぜ(n-1)!なの?順列との違いから詳しく解説

【数学A】円順列の公式はなぜ(n-1)!なの?順列との違いから詳しく解説

 円順列の公式って不思議ですよね。

なんでnから1を引くんだろう?

 円順列の公式が(n-1)!である理由を一言で言うと、n個分のダブりをなくすため。

 単にn!を計算すると、数える必要のないパターンまで数えてしまうのです。

 n!と言えば円順列ではなく順列。円順列の公式を理解するには、円順列と順列の違いを知らなくてはいけません

 この記事では円順列の公式が(n-1)!になる理由を、具体例を用いて解説します。

 まずはざっくりと円順列の公式が(n-1)!になる理由を解説したあと、より一層理解できるように円順列と順列の違いを解説します。

 最後に、円順列の公式がどうやってできているのかをnを用いて解説し、公式を導きます。

 この記事を読めば円順列と順列の違いから円順列の公式を理解でき、『ダブりをなくす』という発想を身につけられます。

 この発想は今後の『場合の数』の学習で大いに役立つので、ぜひ最後まで読んでください。



 円順列の公式が(n-1)!である理由を、まずはざっくり解説します。

問題

Aさん、Bさん、Cさん、Dさんの4人を全員円卓に座らせるとき、座り方は何通りあるか。

 この問題では4人を座らせるからn=4ですね。

 円順列の公式を知らない状態なら、4!通りだと思うでしょう。

 しかし実際は円順列の公式(n-1)!に則り、(4-1)!=3!通りになります。

 順列は4!なのに、なぜ円順列だと1減って3!になるのか。

 実は円順列だと、座る人数=nパターンのダブりが生じてしまうのです。

 なぜダブるのかは、この後の『円順列と順列の違い』で詳しく解説します。

 この問いでは4人座っているので、4パターンのダブり。

 だから4で割ります。

 $\frac{4!}{4}=\frac{\bcancel{4}\cdot3!}{\bcancel{4}}=3!$

 n=4なら、n-1=3

 円順列の公式は円卓に座っている人数で割った結果、(n-1)!となるのです。

 ここからは円順列が(n-1)!になる理由を具体的に解説します。

 円順列を理解するには、円順列と順列の違いを理解していることが不可欠なので、まずはそれを解説します。

 その後で具体例を一般化し、なぜ円順列の公式が(n-1)!になるのかをnを用いて導いていきます。

円順列と順列の違い『円順列はnパターンがダブる』



 円順列の公式【ざっくり解説】では、円順列では順列と同じ方法で計算するとダブりがでてしまうとお話ししました。

 ここからは円順列と順列の違いを見ていき、円順列ではダブりが出ることを確認します。

 ①が順列、②が円順列の問題です。

 まずは①順列の問題を解いていきましょう。

 4人を並べるわけですから、n=4なので当然4!ですよね。

 4人を並べるとき、一番左に立つ人が4通り、その右隣に立つ人が3通り、さらにその右に立つ人が2通り、そして一番右が余った1人が立つから1通りとなる。

 よってAさん、Bさん、Cさん、Dさんの4人を一列に並べるとき、並び方は4×3×2×1=4!通りとなるわけですよね。

 この時、以下のような並び方はそれぞれ区別して考えています。

これは全部違う並び方なんだから、区別するのは当然でしょ!

 一列に並べると全て違う並び方だと思いますよね。

 しかし、この並び順が円になったらどうなるでしょうか?


 ここからは②円順列の問題『4人を円卓に座らせる方法は何通り?』です。

 円順列の公式を知らなければ、n=4のなので、きっと4!通りだと考えるでしょう。

 それの何が問題なのか。

 一列に並べるときは、以上のような並び方を区別しました。

 しかしこの並び順を円形にしたら、これらの区別はなくなります。

 これらは全て向きが違うだけなので、全てABCDの並び順と見なします。

 今回は例としてABCDの順の並び方を挙げましたが、4!分の並び方に対して、4通りのダブりが生じるのです。

 この4!という数は、4人の一列での並び方全パターンの数ですよね。

 よって、円順列では

 $\frac{4!}{4}=\frac{\bcancel{4}\cdot3!}{\bcancel{4}}=3!$

 このように4で割らなければならないので、結果として(n-1)!の計算をすることになるのです。

円順列の公式を作る



 ここまでは具体例を用いて、順列と円順列の違いをみてきました。

 ここからは具体例を一般化していきましょう。

問題

n人を全員円卓に座らせるとき、座り方は何通りあるか。

 一旦普通の順列を考えると、n人の並び方はn!通りですね。

 しかし円順列では、順列と同じ計算をするとダブりが生じてしまうのでしたね。

 4人を円卓に座らせた時は、4通りずつダブるのでした。

 つまりn人を円卓に座らせたら、n通りダブるということです。

 よって、n人を円卓に座らせるとき、座り方の場合の数はn!をnで割ることで求められます。

円順列の公式

n人を全員円卓に座らせるとき、その座り方の数はn!をnで割ることで求められる

$\frac{n!}{n}$

$=\frac{\bcancel{n}\cdot(n-1)!}{\bcancel{n}}$

$=(n-1)!$

なんで

n!=n・(n-1)!

になるの?

 例えばn=4のとき、

 4!=4・3・2・1になりますよね。

 これを変形すると

 4!=4・3!になります。

 4!では、4よりも1小さい3!の計算が隠れているのです。

 つまりn!には、nよちも1小さい(n-1)!が隠れていると言えます。

まとめ

n人を円卓に座らせるパターンが全部で(n-1)!なのは、n!通りの座り方に対してn通りのダブりがあるから。

$\frac{n!}{n}$

$=\frac{\bcancel{n}\cdot(n-1)!}{\bcancel{n}}$

$=(n-1)!$

 円順列の公式を丸暗記することもできますが、なぜこの公式になるんだろう?と疑問に思うことが大切です。

 実は円順列の公式の成り立ちである、ダブりを無くすために割り算をするという発想は、今後の場合の数の学習で大いに役立ちます。

 ダブりを消す、という発想を学ばないまま難しい問題を解こうとすると混乱します。

 円順列を学んだ時点で、ダブりを消す発想を得たあなたはラッキーです!

 ぜひ今後も、なんでも疑問に思うセンスを大事にしてくださいね。


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