解が一つに決まらない連立方程式の解き方と『解なし・解は無数にある』の理由を解説

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解が一つに決まらない連立方程式の解き方と『解なし・解は無数にある』の理由を解説

解が一つに決まらない連立方程式の解き方と『解なし・解は無数にある』の理由を解説



 連立方程式を解くとき、答えが『解なし』や『解は無数にある』となることがあります。

 どうしてそんなことが起こるのか、不思議に思いますよね。

 答えが『解なし』や『解は無数にある』理由を知る鍵は、そもそも連立方程式とは何のためにあるのか?を理解することです。

 この記事では連立方程式が何のためにあるのかを解説したあと、答えが一つに決まらない場合の解き方や理由をわかりやすく説明していきます。



 まずは、そもそも連立方程式が何のためにあるのかを理解しましょう。

 それがわかれば、連立方程式が『解なし』または『解は無数にある』になることがある理由が分かります。

二元一次方程式が1つだけだと解が決まらない

 次の問題を考えてみましょう。

 次の二元一次方程式で、$x,y$に当てはまる数は?

 $2x+3y=1$

$x=-1,y=1$

だね!

え?

$x=2,y=-1$

じゃない?

 どっちも正解です!

 他にも、$x=0,y=\frac{1}{3}$も当てはまります。

 このように二元一次方程式が1つだけなら、x,yに当てはまる数は無数に存在します。

式が2つあれば解が1つに決まる

 では、$2x+3y=1$ともう一つの二元一次方程式があったとしましょう。

\[
\left\{
\begin{array}{l}
2x+3y=1・・・① \\
-5x+2y=-12・・・②
\end{array}
\right.
\]

 ①と②の式に共通する$x$と$y$の値を求めるために、連立方程式を解きます。

 $2x+3y=1$だけでは$x$と$y$に当てはまる数は無数にありますが、連立方程式にすると、xとyに当てはまる数はただ一つに決まります。

 この連立方程式を解くと、$x=2$, $y=-1$です。



 ここからは『解が一つに決まらない連立方程式』の解き方を解説します。

 といっても、初手は普通の連立方程式の解き方と変わりません。

解き方

まずは普通に連立方程式を解こうとする!

加減法で解きたくなるはず。

 以下で詳しく解説します。

『解が無数にある』連立方程式の解き方

例題

 次の連立方程式を解きましょう。

\[
\left\{
\begin{array}{l}
3x-2y=2・・・① \\
9x-6y=6・・・②
\end{array}
\right.
\]

 まずは普通に連立方程式を解いてみましょう。

じゃあ、加減法で解こう!

①の式を3倍してみる。

 ①の式を3倍すると以下のようになります。

 $3x-2y=2$

 $3x{\color{red}{×3}}-2y{\color{red}{×3}}=2{\color{red}{×3}}$

 $9x-6y=6$

あれ?

①の式を3倍したら②の式と同じになった!

 片方の式を何倍かしたとき、もう一方の式と同じになったら、その連立方程式は一本の二元一次方程式しかないことになります。

 二元一次方程式が一本しかないとき、$x,y$に当てはまる数は1つには決まらないのでしたよね。

 つまり、この場合は答えを『解は無数にある』とします。

『解なし』の連立方程式の解き方

例題

 次の連立方程式を解きましょう。

\[
\left\{
\begin{array}{l}
4x-y=3・・・① \\
8x-2y=5・・・②
\end{array}
\right.
\]

 これも普通に解いてみましょう。

①の式を2倍にして、加減法で解いてみよう!

 ①の式を2倍にすると以下のようになります。

 $4x-y=3$

 $4x{\color{red}{×2}}-y{\color{red}{×2}}=3{\color{red}{×2}}$

 $8x-2y=6$

 ここで、『①を2倍した式』と『②の式』を改めて連立方程式として書き、式を見比べてみましょう。

\[
\left\{
\begin{array}{l}
4x-y=3・・・① \\
8x-2y=5・・・②
\end{array}
\right.
\]

$\Longleftrightarrow$

\[
\left\{
\begin{array}{l}
8x-2y=6・・・①×2 \\
8x-2y=5・・・②
\end{array}
\right.
\]

『①を2倍した式』と『②の式』を見比べてみると、

右辺は『$8x-2y$』で同じ。

でも左辺が違う!

 右辺は同じでも左辺が違うということは、2つの式に共通して入る$x,y$の数は存在しないことになります。

どういうこと?

 では$A=8x-2y$と置き換えてみましょう。

 2つの式の右辺は両方$8x-2y$なので、Aに置き換えられます。

\[
\left\{
\begin{array}{l}
8x-2y=6・・・①×2 \\
8x-2y=5・・・②
\end{array}
\right.
\]

$\Longleftrightarrow$

\[
\left\{
\begin{array}{l}
A=6・・・①×2 \\
A=5・・・②
\end{array}
\right.
\]

 つまりこの連立方程式では『A=6とA=5を両方成り立たせるAは何?』と聞いているのです。

 A=6とA=5を両方成り立たせるなんて無理ですよね。

 つまり、Aが成り立たない=この連立方程式を成り立たせるx,yの数はありません。

 よって、答えは『解なし』とします。

まとめ

  • ひとまず普通の連立方程式のように計算してみる
  • 2つの式が同じになったら『解は無数にある』
  • 2つの式の左辺(まだは右辺)が同じなのに右辺(または左辺)が異なるときは『解なし』

 連立方程式は、2つ以上の方程式を同時に解くことで、2つ以上の文字に何の数字が当てはまるかを調べるためのツールです。

 しかし方程式の関係によっては、解が存在しなかったり、無数にあったりすることがあります。

 始めはイメージしづらいかもしれませんが、理屈を知ればわかるようになるはずです。


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