【小学生でも知ってる】等差数列と等比数列『和の公式』の意味を具体的に解説

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【小学生でも知ってる】等差数列と等比数列『和の公式』の意味を具体的に解説

【小学生でも知ってる】等差数列と等比数列『和の公式』の意味を具体的に解説



 高校数学『数学B』の中でも複雑な公式の多い数列。

 それらの公式の中で序盤に出てくるのが等差数列と等比数列の和の公式です。

 等差数列も等比数列も和の公式は分数なので、覚えるどころか見ただけで嫌になってしまいますよね。

 しかし、等差数列と等比数列の和の公式は小学生でもわかる理屈で導けるのです!

 なぜなら等差数列と等比数列の和を求める問題は、中学受験で出題されるからです。

 小学生でもわかる理屈で和の公式を求められるなら、苦労して丸暗記するのはだと思いませんか?

 ぜひこの記事を読んで、等差数列と等比数列の和の公式が成り立つ理由を理解し、ラクに公式を覚えましょう!

 そもそも等差数列と等比数列の和を求めるのに公式はいりません。

 等差数列と等比数列の和を求める問題は中学受験でも出題されます。

 小学生が文字ばかりで難しい公式を暗記していると思いますか?

 実は、小学生は等差数列と等比数列の和を算数の知識だけで解いているのです。

 高校数学で出てくる和の公式は、小学生がやっている解き方を一般化(文字を使って表すこと)したものに過ぎません。

 つまり、公式を使わない和の求め方が分かれば、公式の成り立ちもわかります。



 等差数列の和の公式は以下です。

等差数列の和の公式

  • 初項 \( a_1 \)、末項 \( l \)、項数 \( n \) の場合
    $$ S_n = \frac{n}{2} ( a_1 + l ) $$
  • 初項 \( a_1 \)、公差 \( d \)、項数 \( n \) の場合
    $$S_n = \frac{n}{2} \left\{ 2a_1 + (n – 1)d \right\}$$

 まずは①について解説したあと、②について解説します。

$ S_n = \frac{n}{2} ( a_1 + l ) $

 公式$ S_n = \frac{n}{2} ( a + l ) $を日本語で書き換えると以下のようになります。

 $ S_n = \frac{項数}{2} ( 初項 + 末項 ) $

 つまりこの公式では、数列の初項と末項を足し、その和を項数で掛けた後に2で割っています。

 なぜこのような計算をするのか、具体的な数列を用いて確かめていきましょう。

等差数列の和の求め方

  • 数列を書き並べる
  • ①の数列のに、逆から数列を書く
  • ①と②の数列を足し、2で割る

 初項2、公差3の等差数列$a_n=3n-1$の、$a_7$までの和を求めます。

 まずは①、第7項$a_7$までを書き並べましょう。

初項2、公差3の数列の第7項目までの和を求める
・・・第7項目まで書き並べる  2+5+8+11+14+17+20

 数列の第7項までの数、2~20が並びました。


 次に②。その下に、逆の順番で数列を書きましょう。


 さらに③、上下にできた数列を足します。

上下に書いた数列を足す
⇒『初項+末項=22』が項の数だけ現れる

 改めて公式を見てみましょう。

 $ S_n = \frac{項数}{2} ( 初項 + 末項 ) $

 この公式はまず、初項と末項を足して、その和を項の数だけかけていますよね。

 上下にできた数列を足すと、項の数(ここでは7項)だけ「初項 + 末項」が出現します。

 したがって、$22(初項+末項)×7(項数)$が、2つの数列の合計です。

 求めたいのは当然、1つの数列の第7項までの和なので、2で割ります。これが分数の『2』です

 よって、初項2、公差3の等差数列$a_n=3n-1$の、$a_7$までの和は、以下のように求められます。

 $ S_7 = \frac{7}{2} (2+20) $

 $ S_7 = 77$

 以上から、$ S_n = \frac{項数}{2} ( 初項 + 末項 ) $つまり$ S_n = \frac{n}{2} ( a_1 + l ) $の公式が成り立つと言えます。

$S_n = \frac{n}{2} \left\{ 2a_1 + (n – 1)d \right\}$

 この公式は、代入と変形だけで完成します。

 $S_n = \frac{n}{2} \left\{ 2a_1 + (n – 1)d \right\}$は、$ S_n = \frac{n}{2} ( a_1 + l ) $の公式を元にできているのです。

 等差数列の一般項の公式$a_{n}=a_{1}+(n-1)d$より、数列の末項は第n項$\color{red}{(a_n)}$、つまり$\color{red}{a_{1}+(n-1)d}$です。

 $ S_n = \frac{n}{2} ( a_1 + l ) $の$l$に$a_{1}+(n-1)d$を代入します。

 $S_n = \frac{n}{2} ( a_1 +\color{red}{ l })$

 $S_n = \frac{n}{2} \left\{ a_1 + \color{red}{a_1+ (n – 1)d} \right\}$

 $S_n = \frac{n}{2} \left\{ 2a_1 + (n – 1)d \right\}$

 このように代入して整理するだけで、$S_n = \frac{n}{2} \left\{ 2a_1 + (n – 1)d \right\}$の公式を作れます。



 等比数列の和の公式は以下です。

等比数列の和の公式

 初項 \( a_1 \)、公比 \( r \)、項数 \( n \) の場合

  • 公比 \( r \neq 1 \) の場合
    $$ S_n = \frac{a_1(1 – r^n)}{1 – r} \quad \text{または} \quad S_n = \frac{a_1(r^n – 1)}{r – 1} $$
  • 公比 \( r = 1 \) の場合
    $$ S_n = a_1n $$

 まずは①について解説したあと、②について解説します。

$ S_n = \frac{a_1(1 – r^n)}{1 – r} \quad \text{または} \quad S_n = \frac{a_1(r^n – 1)}{r – 1} $

 等比数列の和を求めるには、次のような手順を踏みます。

等比数列の和の求め方

  • 数列を書き並べる
  • ①の数列のに、①の数列を公比で掛けた数列を書く
  • ②の数列から①の数列を引く
  • ③を(公比-1)で割る

 初項1、公比3の等比数列($a_n = 1 \cdot 3^{n-1} = 3^{n-1}$)の、第5項までの和を求める問いを例にします。

 まずは①、第5項$a_5$までを書き並べましょう。この数列を『数列A』とします。

初項1、公比3の数列の第5項目までの和を求める
・・・第5項目まで書き並べる

 

 次に②。公比の3をかけた数列を書きましょう。この数列を『数列B』とします。

 第5項の81に公比3をかけると、第6項にあたる『243』が出現します。

元の数列を、公比の数だけ倍する
=数列Aを3倍する

 その後③、『数列B』から『数列A』を引きます。

 『-(初項)』である『-1』第6項『243』が残りましたね。

(数列B-数列A)をする
『-(初項)』である『-1』と第6項『243』が残った

 最後に④(公比-1)で割ります。

 元の数列を3倍(公比の3)した『数列B』から、元の数列『数列A』を引くということは、出てきた差は『元の数列の2倍』ですよね。

 つまり、問われている元の数列の和を求めるには『2』で割る必要があります。

 したがって、この数列の第5項までの和を$S_5$とすると、求める式は以下のようになります。

 $S_5=\frac{-1+243}{2}=121$


 まず、$S_5=\frac{-1+243}{2}$の分母『2』とはなにか。これは『この数列の公比3から1を引いた数』つまり『$\color{red}{r-1}$』です。

 ここで、改めて公式を見てみましょう。

 $ S_n = \frac{a_1(r^n – 1)}{r – 1} $

 この公式の分母『$\color{red}{r-1}$』と一致しますね。


 では、分子『$-1+243$』はどうなるのか。

 公式$ S_n =\frac{a_1(r^n – 1)}{r – 1} $を展開してみましょう。

 $ S_n = \frac{a_1(r^n – 1)}{r – 1} $

 $ S_n = \frac{a_1・r^n -a_1}{r – 1} $

 $S_n = \frac{ -a_1+a_1・r^n}{r – 1} $←分子の項を入れ替えた

 分子『$-1+243$』の『-1』こそが『$\color{red}{-a_1}$』です。


 では、$a_1・r^n$とはなにか。

 それを知る鍵となるのは、数列Bにだけ出てくる『243』の成り立ちです。

 そもそも数列Bは、数列Aを公比の数だけ倍してできた数列ですよね。

 元の数列Aの一般項は$a_n = a_1 \cdot r^{n-1} $、つまり末項は$ a_1 \cdot r^{n-1} $です。

 数列Aの末項は81なので$a_1 \cdot r^{n-1}=81$といえます。

 対して数列Bの末項243は、81を3(公比r)倍したものなので、

 $a_1 \cdot r^{n}=243$となります。

 よって、$a_1・r^n$とは公比の数をかけてできた数列(数列B)の末項を表しています。

$ S_n = a_1n $

 次に$ S_n = a_1n $の成り立ちについて解説します。

 これは公比$\color{red}{r=1}$のときのみ使用できる公式です。

 では、公比$r=1$の等比数列とはどんな数列でしょうか。

【公比$r=1$の等比数列】
⇒同じ数が続く数列
例 2,2,2,2,2……2

 つまり公比$r=1$の数列で第n項までの和を求めるときは、同じ数字がn個あるので$初項×n$をします。

 よって、公比$r=1$のとき$ S_n = a_1n $です。

 等差数列と等比数列『和の公式』の意味は、算数の知識だけで説明できます。

 とはいえ、こうして解説されると難しい部分があるかと思います。

 特に等比数列の和$ S_n = \frac{a_1(r^n – 1)}{r – 1} $の意味は難しいでしょう。

 ゆえに、丸暗記した方が早い! と感じる人がいるかと思います。

 しかし等差数列と等比数列の和の公式を丸暗記すると、必ず忘れてしまいます。

 私も何度も覚え直しています。

 その場しのぎで丸暗記しようとするのではなく、ぜひ公式の成り立ちから理解しましょう。


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