
数学Aにおいて初めにぶつかる壁。
そう、順列と組合わせの違いです。

授業を聞いても、教科書を調べても違いがわからない

PとCの使い分け方がわからない

てかなんで公式が2個もあるの!?
順列と組合わせの違いがわからないというひとはズバリ、順列と組合わせの意味がわかっていないのです。
逆に、順列と組合わせのそれぞれの意味がわかっていれば、そのようなことで悩むことはないのです。
この記事を読めば順列と組合わせの意味がわかり、それぞれの違いを理解できます。
問題によってどの公式を使えばいいかもわかりますよ!

順列と組合わせの違いはズバリ、『並び順に意味があるか、ないか』です。
順列はその名の通り並び順に意味があり、組合わせには並び順に意味はありません。
順列と組合わせの公式を確認しましょう。
順列と組合わせの公式
順列:${}_n \mathrm{ P }_r$
組合わせ:${}_n \mathrm{ C }_r$
具体的に計算してみると次のようになります。
順列の計算
7人の中から3人選んで並べるとき
${}_7 \mathrm{ P }_3=7・6・5=210$
$\therefore210通り$
組合わせの計算
7人の中から3人選ぶだけのとき
${}_7 \mathrm{ C }_3=\frac{7・6・5}{3!}=35$
$\therefore35通り$

これぐらいなら余裕!
ここで注目してほしいのは、同じ数の中から同じ数を選ぶとき(上の例題では両方7人から3人)、組合わせの方が場合の数が少なくなることです。
なぜ組合わせの方が場合の数が少なくなるのか。
そう、組合わせは並び順に意味がないからです。
詳しくは次の例題を解きながら解説します。
順列と組合わせの違いを例題を解きながら理解しよう

順列と組合わせの違いを一言で言うと?

「並び順に意味があるか、ないか」だね!
並び順に意味がある方が順列で、ない方が組合わせでした。
このことを踏まえて、以下の問題を考えてみよう。
順列~並び順に意味がある
例題1
Aさん、Bさん、Cさん、Dさん、Eさんの5人の中から、委員長、副委員長、書記を一人ずつ選ぶとき、全部で何通りの選び方があるか?

『選び方』って言われてるから、組合わせじゃないの?
5人の中から3人を選び、3人を委員長、副委員長、書記に振り分けるので、順列と考えます。(並び順の意味)
式は以下のようになります。
例題1の解答
5人の中から3人選んで並べる(それぞれの役職に割り振る)から
${}_5 \mathrm{ P }_3=5×4×3=60$
$\therefore$60通り
単に公式${}_n \mathrm{ P }_r$に当てはめるのではなく、意味を考えてみましょう。
委員長、副委員長、書記を、5人の中からこの順番で選ぶと考えます。

委員長は5通り、
副委員長は委員長になった1人を除いて4通り、
書記は委員長、副委員長になった2人を除いて3通りだね!
このことから${}_5 \mathrm{ P }_3=5×4×3=60通り$となるのです。
組合わせ~並び順に意味がない
例題2
Aさん、Bさん、Cさん、Dさん、Eさんの5人の中から3人の代表者を選ぶとき、選び方は全部で何通りあるか?
例題1との違いを見てみましょう。
例題1では名前の付いた役職に振り分けました。

例題2では代表者を3人選ぶだけだね
例題1で委員長、副委員長、書記を選ぶ時は、以下のような違いがありました。
このように、A、B、Cというひとつの選び方につき6通りの並び順があるわけです。

3つものを並べる場合の数、つまり$3!=6通り$だね!
対して、例題2ではどうでしょう?
例題2では代表者を3人選ぶだけなので、その並び順に意味はありません。
代表者としてAとBとCを選んだなら、その1通りの組み合わせしかないのです。

『代表者AとBとC』と
『代表者BとAとC』は同じだよね
つまり、組合わせは次のように考えることができます。
もうお気づきですよね。
これこそが組合わせの公式${}_n \mathrm{ C }_r$の意味なのです。
例題2の解答
5人の中から3人の代表者を選ぶから
${}_5 \mathrm{ C }_3=\frac{5・4・3}{3!}=10$
$\therefore10通り$
まとめ~何が問われているのかを考える

順列と組合わせの違いは、並び順に意味があるか、ないかです。
並び順は整列するだけでなく、色の付いた箱に入れるとか、名前の付いた役職に割り振ることなどとも言います。
順列と組合わせの違いを見分けるのは初めは大変かもしれません。
しかし、問題を解くたびに自分で『なぜ順列、または組合わせなのか?』を考えれば必ず得意になります。
自分の頭で筋道立てて考えることが大切です。